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元新聞記者による辛口コラム・エッセー、イラストと写真です。ご意見ご感想をお気軽にお待ちしています。(記事・画像の無断転載と無断複製・配布を堅く禁じ、万一発見した場合しかるべき処置を取ります)
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ダルク共通の課題「老い」をどう生き抜くか
いつの間にか年金をもらえる年代になった。訳あって定年前に勤め先を早期退社し、おまけに若い頃のやんちゃがたたって未払いの空白期間があり、手にできるのは基準額よりかなり低い。それに子供がまだ大学生なので、あと数年は頑張って働かなければならない。寄る年波に「老い」を意識しながらも、現役であることを強いられる身の悲しさよ…と、独り言(ご)ちる場面が増えた。これも身から出た錆、自己責任として引き受けるしかない▼ご多分に漏れず高齢化の波が押し寄せ、老後をどうしたら意義あるものとして生き抜くかは、ダルク共通の課題として浮上している。日本ダルク代表の近藤恒夫さんはフォーラムなどの場面で「片足を棺桶に突っ込んでいるヤク中は薬物をやめなくてもいい」と冗談交じりに話す。近藤さん一流の逆説というか、含蓄のある言い方だが、あながち否定できないように思う。家族も仕事も何もかも失った高齢依存症者が薬物依存でかろうじて生きながらえているなら、「もう頑張らなくてもいい」と助言したくなるのも人情だろう。でも、依存症の当事者にとっては人生の幕引きはクスリなしで終えたい、やはり最後は人間らしく人生を閉じたい、との願いは切実だ▼ダルク30年の歴史の中で経験したことがない高齢化にどう対応するかは、どこのダルクでも頭を抱える深刻な問題として浮上している。若ければ回復の可能性も希望も抱きやすいだろうが、長年にわたる依存症による精神や身体への後遺症、認知症や内臓疾患、身体機能の低下による車いす生活…などになった高齢の依存症者を、高齢者介護のノウハウがないダルクはどこまで引き受けられるのだろうか。そこまで行かなくても、もはやどこにも行き場がなくなりダルクが終の棲家となっている現状で、高齢依存症者の残りの人生をどう意義あるものとして保障していけるのだろうか▼原点を確認するなら、ダルクの役割は入所にしろ、あるいは通所にしろ、安全安心に薬物(アルコール、ギャンブルなども)をやめ続けることの訓練をする場の提供であり、当事者を地域の相互援助グループ(NAやAA)につなげることにある。さらに生活自立訓練がこれに加わる。各種デイケア活動への参加や買い物、掃除、食事作り、犬の散歩など施設から与えられた日課や任務を遂行することで、少しずつ社会復帰への条件を整えていく。これらの活動の下支えが、依存症者の内面を変えて人間として成長させる魔法の杖とも言うべき回復プログラム(主に12ステップ)とグループミーティング、そして仲間の存在ということになる▼もっとも、依存症者を取り巻く現実は依然として厳しく、こうした回復活動を担っても長引く景気低迷と、相変わらず依存症(とりわけ薬物依存症)に対する地域の誤解と偏見の根強い中では、ダルクのプログラムを修了しても一般就労は絶望的なほど困難だ。勢い社会復帰の壁は厚く、ダルクが標榜する社会との中間施設としての役割はなかなか果たせない。むしろ、社会に出られない分、ダルクの数は全国に関連施設を含めると80数カ所にまで増え、ダルク間を移動する“ダルクツアー”組が多くなっている。おまけに基本活動のプログラムへの取り組みさえままならない高齢者問題である▼人間老いれば、どこかしら身体も精神機能も衰え、おかしくなっていくのは自然なはずなのだが、よほど人生を達観しているならともかく、凡人はなかなか素直に自分の「老い」を受け入れがたい。むしろ昨今の商業主義的な健康信仰の押しつけやアンチエイジングの礼賛に踊らされ、手放しで「若さ」に価値があると思わされていると、「老い」に抗うことに気をとられて肝心な「老い」を生きることの意味を見失いがちだ。一般社会でさえそうなのだから、依存によって比較的「老い」が早く訪れる人たちの割合が高いダルクにおいてはなおさらである▼「老い」をどう充実させ、残りの人生をどう意義あるものとするか―ダルクで生活する高齢者は、少なくとも飢えることからは免れている。なんといっても国丸抱えの「生活保護便り」だから最低限の衣食住、それに医療費も国で賄われる。それに比べ当方は、それなりに頑張って働いてきたのに年金は当てにできず、この後も働き続けなければならない。今更ながら人生の悲哀を感じながらも、どこか面白くない感情が残る。
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