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「“憎しみ”を“憎しみ”で返したくない」/筑波大の学生団体「クローバー」/牛久入管収容の外国人難民を支援

 海外に比べ、日本では縁遠いと思われがちな外国人難民問題に取り組む、学生たちの自主グループがある。筑波大の学生有志団体「CLOVER(クローバー)」(代表・冨澤麻琴さん=国際総合学類2年=)だ。牛久市久野町の「東日本入国管理センター」(通称・牛久入管、収容定員700人)に収容されている外国人難民の支援活動に、学生ならではのしなやかな感性と行動力で、被収容者に寄り添いながら幅広いサポートに取り組んでいる。こうした活動が評価され、同大の社会貢献プロジェクトとして認定されている。

 ◆「差別や偏見でなく信頼で接する国に」
 クローバーは「難民申請者を含む被収容者が、収容中や仮放免中の社会的・経済的な不安定さから、心身共に大きなストレスを抱えており、彼らが未来への希望を持って生きられるよう寄り添うこと」を目的に2009年10月に設立。「若者が主体的に、気遣いと愛をもって難民と共に歩み、持続的な信頼関係を築いていく」を基本姿勢に、「知る・伝える・繋がる・行動する」をモットーとして活動している。
 主な活動は、▽被収容者の面会訪問活動▽難民への物品支援▽日本語学習サポート▽翻訳サポート▽仮放免者との交流▽啓発活動―の6項目。それぞれ①企画②日本語サポート③面会④翻訳⑤広報・渉外―の5チームに分かれて活動し、学外の団体との勉強会などにも取り組んでいる。クローバーの広報・渉外チーム担当者は「日本人と外国人との交流のチャンスが無い。“差別や偏見で接する国”ではなく“信頼で接する国”にしたい」と語る。
 活動当初は、牛久入管に収容されている難民が、日本政府に対して反感を持っていたが、クローバーの若者たちが難民に接することにより、「日本人の若者に対する信頼感ができた」と言われるまでに信頼関係を構築。毎週1回の面会時には「何度も繰り返し『クローバーなら話せる』となった」という。
 担当者は「(難民に)将来に希望を持ってもらう。会った人の中には“死にたい”と漏らす人もいた。その中で目的を明確にして活動してきた」と振り返り、一定の手ごたえを強調した。
 ◆「ハンガーストライキをやった」
 昨年12月8日、つくば市吾妻のノバホールで難民交流イベントが開かれ、クローバーの活動内容や日本での難民の実態などが紹介された。日本に難民申請した外国人難民に関する寸劇では、「1回30分」という限られた時間内でしか外部との面会が許されない問題が指摘され、クローバーに先駆けて本県で難民支援活動をしている「牛久入管収容所問題を考える会」(通称・牛久の会)の会員の1人は、寸劇の面会シーンを見て「劇の通り」と感想を話した。
 その後はグループごとに交流会があり、学生たちと一緒に仮放免中の中国系インドネシア人男性とイラン人男性から話が聞けた。その際、「牛久にいてつらかったことは?」の質問に対し、2人は「ハンガーストライキをやったこと」と明かした。牛久入管では2009年10月にミャンマー人収容者が「軍事政権に抗議」としてハンストを行った他、10年5月にも同入管でハンストが発生してメディアで報道された。
 また、インドネシア人男性は「仕事は禁じられている。(牛久入管を)出てからもつらい。1人ぼっち。同じ国でも人種が違うと助けてくれない」と、中国系インドネシア人の困難な境遇を嘆いた。イラン人男性も「仮放免の人は仕事もできない。仕事がばれたら(牛久入管に)収容される」と話した。さらに「住民票を作ることができない。在留カードも無い」と、市民サービスが受けられない現状を語り、「在留資格が欲しい」と訴えた。
 ◆「UNCHRはサポートしてくれない」
 インドネシア人男性は「在留資格を勝ち取るのが目標」と述べた後、「98年にお爺さんが死んだ。04年にキリスト教徒ということで激しくケガをした。父親が経営していた工場も燃やされた。中国系なので『中国に帰れ!』と言われるが、私は中国語を話せない」など、98年のスハルト政権退陣に伴う混乱を含む祖国での差別体験を途切れながらも熱心に話した。
 また、公的国際機関の「UNCHR(国連難民高等弁務官)はサポートしてくれない。インタビューしてそれだけ。(学生団体の)クローバーの方が頼りになる。対応も早い」と、UNCHRへの不信を募らせた。「同級生は07年に米国で難民申請が通った。(申請から)5年かかったが収容されなかった」としながらも、「差別があるので米国には行きたくない。日本がいい。仕事の経験は日本でした。インドネシアでは会社で雇ってくれなかった」と、日本への愛着を口にした。

◆「憎しみからは何も生まれない」
 クローバー創設者の筑波大4年、浅野マミさん(23)は、日本では「難民問題が批判にさらされることが無かったので、批判はつきもの」と社会の無反応や関心の低さをクールに受け止める。「“異質なものを受け入れる”風土が無い」と日本社会の閉鎖性に触れながらも、クローバーの活動が求められていることを「今まで問題にすらならなかった難民問題が認知されている証し」と前向きにとらえ、「“憎しみ”に対して“憎しみ”で返したくない」と語った。
 また、外部の支援者から「難民問題を解決したいなら、どうしてハンストやデモなどに参加しないのか」と求められることについても、「ソフトな面で(難民問題に)関われることなど(学生ならではの)役割があると思う。制度や法律を変えるのは難しい」との立場に理解を求めた。
 その上で「憎しみからは何も生まれない。市民を敵に回したくない」と繰り返し、“憎しみの再生産”ではなく「気遣いと愛で難民と共に歩む姿勢」を強調。「どんなに小さくても笑顔でいることが大事。人を幸せにすることで自分が幸せになる」と語った。浅野さんは今春、筑波大を卒業し、4月からは神道系の宗教団体で聖職者として働くという。
 難民問題を含む外国人問題は、しばしば「人種、民族間の憎悪」がぶつかり合うが、だからこそ「憎しみ」でなく「寛容の精神」が求められるのかもしれない。

※クローバーの活動はブログ「CLOVER~難民と共に歩むユース団体~」で見ることができる。http://cloveryouth.blog109.fc2.com/

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牛久入管に収容されている難民申請者との面会の様子を再現した寸劇=つくば市吾妻のノバホール

テーマ:ニュース・社会 - ジャンル:ニュース

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