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子どもの実態に即した対応を/独自の視点で不登校問題に取り組む茨城県下妻市の吉田明さん/専門学校を舞台に新たな企画
 四半生紀にわたり、学校教育が抱える矛盾や問題点などを市民の視点から考え合ってきた経験を生かし、ニュートラルな立場から不登校問題に向き合う人がいる。茨城県下妻市に住む専門学校職員、吉田明さん(58)だ。時代の病理にも関係する不登校や引きこもり問題だが、行政の対応を含め多様なアプローチがある一方、不登校の子どもたちの個別支援ではピント外れの対応や指導が多いとして、手あかの付いた既存の考え方に囚われない、柔軟な発想と独自スタイルを模索する。その第1弾企画として8日に不登校問題についてのイベントを開く。

 不登校問題が教育にまつわる重要課題になって久しい。
 吉田さんによれば、今の時期は「15の春の試練」最後の公立高二次試験も終わり、中学を卒業した子どもたちの進路が決定し、受験生を抱えた家庭ではホッと一息ついているが、間もなく「5月病」の洗礼が待ち受けている。
 希望に満ちて入学した高校だが、理想と現実のギャップに悩んだり、不本意入学や生徒間の人間関係になじめず、いじめなど多様な要因で通学できなくなり、長期欠席から不登校、やがて中途退学に追い込まれるケースが潜在するという。
 数字的な裏付けやデータはないものの、吉田さんは「2次試験組の中には“不登校予備軍”ともいえる子どもたちがかなりの数、含まれているのではないか」と分析する。「入学しても学力面で難があり、不登校へのリスクを抱えた生徒が多い」とも付け加える。
 こうした生徒たちは適切なフォローがあればなんとか進級・卒業でき、仮に不登校状態に陥ったとしてもより本人に前向きな希望を与え、引きこもりを回避できるほか、本人のヤル気次第では学校とは別ルートで十分に高校卒業の資格を得ることが可能だという。
      ◇
 不登校をめぐっては過去には怠けやわがままといった考え方が強かった。これに反省を加え、教育行政や学校現場は生徒の心情に寄り添いながら、「学校適応指導」「保健室登校」などに力を入れる。一方で不登校の子どもを抱える家庭は、ともすると学校や教員らの指導に不信感や敵がい心を募らせる傾向にあるほか、どうしたらよいか分からず閉塞し孤立している親子のケースもある。地域社会では、まだまだ「なまけ者」のマイナスイメージの視線が根強い。
 こうした多様な立場論を横目に、吉田さんはニュートラルな視点から不登校問題へのアプローチを試みてきた経験を踏まえ、既存の価値観から独立した支援策を訴える。問題提起の視点もユニークだ。
 例えば今ホットな人気の橋下徹大阪市長の君が代斉唱問題、吉田さんは「橋下市長の関心は、もっぱら卒業式と入学式の2日間だけ。本当は残り363日が問題で、硬直化したシステムに守られている公務員体質に変化を促すことができなければ、学校教育は何も変わらない」と訴える。
      ◇
 吉田さんは同じ視点で不登校問題に対しても「求められているのは教育365日の実践。不登校の子どもたちに対する独自のノウハウを持つ専門学校なら、福祉の世界で活躍するケースワーカーのような立場で動けるので、子どもたちの置かれた実態に沿う実践的な指導が可能だ」と説く。
 その上で「不登校問題の根幹にあるのは経済格差にあえぐ、傷ついた家庭。食べるだけで精一杯なために教育への投資などままならず、勢い子どもにしわ寄せがいく。こうした実態にまで目配りして、適切な指導カリキュラムを保障していくと同時に、家庭や本人との面談、さらには同じ環境にある家庭同士の交流が大事になる。不登校の専門学校ならきめ細かく取り組める」とする。
 教育制度の恩恵から孤立した家庭の救済や福祉的なケアを説く一方、父母の在り方についても吉田さんは一家言を持つ。「こうした困難な家庭の状況に、これまでの教育市民運動は本当のところでは琴線にふれてこなかったのでは?」と。「孤立し、深い絶望の淵にある子どもの実態を反映した取り組みが今一番求められている」とする。
      ◇
 都内の大学を卒業後、吉田さんは単身都内でビル・メンテナンスの仕事に携わりながら、家族の住む下妻市との二重生活をプラスの方向に転化し、四半世紀にわたって東京・葛飾区を拠点に友人とともにボランティアの自主グループ「現代教育問題研究会」を主宰。都内や千葉、埼玉県、それに茨城県南地域に住む学校関係者や主婦、学生、塾講師、ジャーナリストらの参加を得て、時事的なテーマで定期的に自由な話し合いを続けている。
  教育や子どもの現状を大人の目線や都合でとらえずに、あくまでニュートラルな立場から“本音”で教育や子育ての可能性を追求。教育関係者が陥りがちな建前論に走らず、学校や子どもたち、教師が置かれた現状などを本音で語り合う「教育問題リレー討論」は全国紙などの大手メディアでも取り上げられた実績がある。
 その成果を生かして、学校教育の矛盾を鋭くとらえた「ヤル気のない生徒にヤル気を!」「できない生徒はどこへ行く」、学校現場で役立つ教育実践指南書「教師が個人責任を問われる時」のほか、「正しいか子どもの言い分」「いじめ救済宣言」などユニークな出版活動に力を入れてきた。いずれも、疲弊した教育システムや家族制度、多様化する社会の価値観に目配りし、独自の切り口で論陣を張ってきた。
 しかし、体調を壊したことから2年前、新たな出発を期してて地元に腰を据える生活に切り替えた。長く務めた会社を辞め、故郷の筑西市でボランティア地域活動や市議選などに挑戦。残念ながら議員選では議席を得ることはできなかったが、新たな人間関係を築くなど地元に根を張る下地づくりをスタートさせた。
     ◇
 仕事の面でも、かつての経験を下地に吉田さんはこのほど、不登校の子どもたちの自立、就学支援で実績のある東海学院文化教養専門学校・高等課程高等専修学校(取手市井野台)に職を得て、水を得た魚のように温めていた独自企画を実現させようと活動を開始した。
 その第一弾として今月8日午後1時から、同学院内において「不登校交流会&進学相談会」を開く。不登校問題に取り組む高橋一行さん(明治大学政経学部教授)や増田良枝さん(NPO法人フリースクール全国ネットワーク理事)、春花子さん(公立中学教員)―らを講師に迎えて講演&トークを予定するほか、不登校を経験した当事者の体験談、家族らの交流会や個別に就学相談を受け付ける。
 連絡は同学院(電話0297-72-1000、FAX同・72-2213)まで。

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不登校についてのイベントを開く吉田明さん。「孤立し、深い絶望の淵にある子どもの実態を反映した取り組みが今一番求められている」と話す

テーマ:ニュース・社会 - ジャンル:ニュース

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1年間不登校でひきこもりだった私の息子が わずか15日で笑顔になり 元気に学校...
2012/04/08(日) 12:19:11 | 役立ち情報
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