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元新聞記者による辛口コラム・エッセー、イラストと写真です。ご意見ご感想をお気軽にお待ちしています。(記事・画像の無断転載と無断複製・配布を堅く禁じ、万一発見した場合しかるべき処置を取ります)
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依存症者社会復帰施設、茨城ダルクの20年 茨城県結城市 岩井さんのあくなき挑戦を振り返る 5

       最後の最後まで現役でいてほしい

 もう一つは、苦しい財政状況の中で自治体が、ダルク入寮者の生活保護の枠に制限を加えざるを得ない状況にあることだ。茨城ダルクでも全国のダルクと同じように、刑務所へのメッセージに力を入れてきた。そのため、仮釈放を受けようとする受刑者から手紙が多くなり、岩井さんも積極的に身元引受人になってきた。しかし、仮釈放の入寮者は生活保護が受けらないという制度上の壁にぶつかっている。
 こうした活動は薬物の再乱用防止には欠かせないものの、刑務所を何度も往復しているケースが多く、家族も経済的に疲弊して入寮費が払えない窮状にある。それでなくても生活保護に頼る比率が圧倒的に高くなり、「来る者は拒まず」のダルク本来のチャリティー精神での入寮者受け入れが限界に来ている。
 一方で国はここにきて、近藤さんが口をすっぱくして訴えてきた依存症を病んだ薬物事犯者の社会内処遇やドラッグコート(薬物問題の専門裁判所)に向け、やっと重い腰を上げ始めた。薬物依存症者の刑事的な処遇改善問題(刑の一部執行猶予制度など)では、依存症問題のパイオニアともいえる貴重な社会資源としてのダルクに期待? を寄せているように受け取れる。誤解を恐れずに言えば、国はダルクの鼻先にはした金をぶらさげて、ダルクにあれもこれもと求め、無理難題を押し付けているようにぼくには思えるのだが、この国が依存症政策では転換期にあることは確かなようだ。これによってダルクが、その魂を国に「売る」ことはないだろうが、ダルクの本来の在り方にこだわる茨城ダルクにとってはどう対処するのか、大きな試練に違いない。
 岩井さんはつい最近、「本人も家族も救いたいが、ダルクにおける自分の最後の仕事として、刑務所を出所した仲間の受け皿をつくることをしたい。でも、カネがなければ施設運営ができない。この重たい課題をどう乗り越えていくか…。ダルクもカネが払えるかどうかを基準に入寮者を選別する段階になっているのかもしれない。そうなると『ダメ。ゼッタイ。』運動じゃないけど、(入寮者を選別して)断る勇気を持たなければならないのだろうか。そうなったら哀しいことだな」と苦しい胸の内を明かしたことがある。
 近藤さんの言うように「もう俺や岩井のようなカリスマが仕切るダルクの時代は終わった」のかもしれない。でも、カリスマかどうかは別にして、岩井さんには最後の最後まで現役でいてほしいと、ぼくは願う。それも岩井さんの思い出と貧しさが染みついた、老朽化した母屋とバラックのようなプレハブ小屋の現在地で踏ん張ってほしい。なにしろ、ダルクは「恨みとコーヒーカップがあれば増えていく」(近藤さん)のだから。老人ホームのような心地よいダルクで好好爺の風貌になるより、ミーティングや講演中の壇上で息絶えるような人生の方が、岩井さんにはふさわしいとぼくは思う。

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