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依存症者社会復帰施設、茨城ダルクの20年 茨城県結城市 岩井さんのあくなき挑戦を振り返る 4

        新たな課題への積極的なチャレンジ

 ぼくにとってダルクの真骨頂と思えるのは、「薬物を止めたい」と助けを求めてきた人なら、過去や職業などは一切問わず、どんな人でも回復を目指す仲間として受け入れる徹底したフラットな人間関係を維持している点にある。15周年記念誌でも記したが、そこにある「許しと救い」の寛容さは、既存の宗教を凌駕するラジカルな内実を秘める、とぼくは考えている。
 精神病院などで一時的に断薬(解毒)はできても、心の奥深くに巣食う痛みと孤独に起因する薬物依存の治療に特効薬はない。自助グループを発展させ、日本に独自のスタイルで治療共同体として根付いた中間施設のダルクは、その困難にチャレンジしてきた。
 今や1県1ダルクも間近になる発展ぶりのダルクだが、近藤さんとともに岩井さんもその功労者として名前を挙げることに疑問の余地はないだろう。しかも、茨城ダルクは「ダルクの網走番外地」などと仲間たちからも厳しい風評を立てられながらも、岩井さんは若い頃に任侠道で鍛えられた義理と人情、面倒見の良さで「来る者は拒まず」「去る者は追わず」という初期ダルクの原則に忠実な運営を守ってきた。しかし、そうした理想を追い求める姿勢も困難な局面を迎えている。岩井さんによれば、ここにきて制度の枠に収まりきらないような入寮者が増え、最後のセーフティネットである生活保護からもこぼれおちるケースが増え、施設運営を圧迫しているという。
 もともと自助活動が基本のダルクは、入寮者家族の負担や篤志家やキリスト教会、支援者らの献金に頼ってきた経緯がある。しかし、欧米と違う習俗的な宗教風土や長引く景気低迷で、以前のように入寮費を払えないチャリティー(無償の慈善)入寮者に対応できなくなっているようだ。
しかも、追い打ちをかけるように、疲れを知らないほどパワフルだった岩井さんが2009年1月に脳梗塞で倒れた。ほとんど後遺症は残らなかったというが、これを機に自身のケアに努め、再度ダルクの原点に立ち返って地元の足固めをしながら、今後の施設運営のビジョンを模索しているようだ。
 岩井さんによれば、新たに課題として浮上しているのは、入寮者の多様化傾向だ。覚せい剤やシンナー中心だった以前に比べ、違法薬物ではない病院の処方薬や市販薬の依存症者が増えている。「統合失調症と薬物依存」「リストカットと薬物依存」「摂食障害と薬物依存」「統合失調症と薬物依存」など、ダルクにとっては荷の重い合併症を持ち合わせて社会に出られない入寮者が男女施設とも大半を占めている。
 いくら薬を減らしても回復できず、こうした入寮者で最近のダルクは沈殿化傾向が見られる。いわばダルク全体が精神科病院化する傾向にある中、茨城ダルクではいち早く磐梯ダルクをつくるなどして精神疾患を併発する入寮者らに対応してきたが、これまでの「ダルクツアー」(関連施設内での循環移動)だけではなく、今後はIARSAとの関係を強化することで、なんとか困難を打開しようと模索しているようだ。

続く

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