元新聞記者による辛口コラム・エッセー、イラストと写真です。ご意見ご感想をお気軽にお待ちしています。(記事・画像の無断転載と無断複製・配布を堅く禁じ、万一発見した場合しかるべき処置を取ります)
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
近藤恒夫氏連載第13回。国家に頼らずに無いものは作れ!/地域社会と当事者のネットワークを
 ●「救い」と「許し」のない国

 いつも思うんだが、押尾 学やノリピー(酒井法子)ら芸能人薬物事件は、この国の薬物依存問題を考えるいいチャンスなのに、相変わらずメディアでバッシングされて終わり。極悪人のように見世物にされ、一方的に消費されるだけに終わっている。
 スポーツ界や法曹界、政治家、大学生…、薬物汚染は広がる一方なのに相変わらず「ダメ。ゼッタイ。」。いつまでたっても規範意識強化と取り締まりの発想から抜けきれない。その結果、この国では目の前の現実的な対応がおろそかになり、いつまでたっても「救い」と「許し」のない依存症国家の枠から脱することができない。
 でもね、ダルクも25周年たって、いろんな人たちがボランティアで支援してくれている。僕がやってきたことが今、だいたい時代の流れになってきた。繰り返すけど、単純自己使用のヤク(薬)中(=薬物依存症者)は、刑務所に入れるより社会内で処遇すべきだ。
 クスリ(違法薬物)が入手できない環境の下で、やめる訓練をしても意味がない。本当にトレーニングしたいなら、クスリのあるとこで、どうしたらやめ続けられるか。デーブスペクターと作った本では、そうしたことを本音で言い合った。
 薬物依存は犯罪ではなく病気。病気だから治療しなければいけないし、その観点から現実的な対応を求めた。薬物依存症者を刑事罰の対象とすることで「社会死」させてしまう日本の薬物対策のシステムではだめなんだ。今のやり方は国家的な損失の垂れ流しだ、とね。

 ●一億依存症国家に成り下がった

 少し前、僕は内閣府で行われた薬物乱用対策推進会議に出席した。そこで「薬物乱用防止戦略加速化プラン」がまとめられたが、具体的な目新しいことは感じられなかったね。薬物依存は一過性の問題として考えている現行の仕組みが機能していないこと。だから依存症(アディクション)を生涯治療として考えた新たな対策を打ち出すように提案したが、送られてきた内容は従来通り。期待に反した結果に落胆した。
 おまけに主役の内閣府大臣は3日後には罷免されてた。次から次と行政の役人は替わるけど、変化しないのは行政の制度と地域社会。「国家や自治体が何とかしてくれる」「役所がやるべきだ」と寄りかかる地域社会は、一億依存症国家に成り下がった感じだな。

 ●野に咲くペンペン草のように

 そんな中で、依存症からの回復と成長のために、まさに条件なしの愛で設立されたのがダルクなんだ。当事者から始まったダルクは25年間、中立を保ちながら当事者によって生きながらえてきた。道ばたのコンクリートの割れ目から芽を出すペンペン草のたくましさでね。
 当事者活動には、自分たちの問題は自分たちが解決していくんだという信念が不可欠。日本の制度や仕組みの不備がダルクの当事者活動を元気にしてきたことは事実なんだ。ぼくの主張は単純だよ。薬物依存症者を刑務所に行かせず、再起させるために地域社会と当事者が作るネットワークを、だ。国家に頼るのではなく、ないものは作ればいい。ダルクのように!

近藤連載12

しぶとい当事者活動によりダルクも四半世紀を経て、個性あふれる次世代のリーダーが生まれている(2010年の横浜ダルクフォーラムで)
コメント
コメント
コメントの投稿
URL:
本文:
パスワード:
非公開コメント: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
トラックバック URL
トラックバック
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。